2017年2月10日

「迷走」さん「MotoGPライダーのライディングフォーム」へのレスポンス。(3下)

迷走」さんMotoGPライダーのライディングフォーム」へのレスポンス。
マーヴェリック・ビニャーレス選手、後半です。
セパンテストで3日目、トップタイムを叩き出した、ヤマハのビニャーレス選手。
第11コーナー、もしくは14コーナー(わからなくてすみません)の立ち上がり付近、後ろからの写真です。
ロッシ、ストーナー、ロレンソ、マルケスと比べてみましょう。


ロッシとストーナーは、今回の写真ではスライドが大きいタイプでした。

ロッシのリヤタイヤからの薄青いタイヤスモークが印象的ですね。
二人とも、スライドさせる分、車体は起こしつつあり、上体は非常にリラックスしてスライドに荷重を追随させようとしている、そういう写真でした。
だから、外足、左足は無理な力みを極力抑え、つま先も、股関節から膝、足首と自然な角度のままに、少し開いています。

スライド量を増やしている最中なので、上体は追随しやすいように、ことさらにイン側へねじり出すことはせず、低く自然に下げている感じです。それでもロッシが車体に沿わせるようにしているのに対して、ストーナーの方が、イン側へ伸びあがるように荷重する傾向があります。

ビニャーレスと同じヤマハのロレンソ選手。スライド量は少なめで、もっとも滑らかに、効率よいコーナリングをぎりぎりのバランスの上で敢行していました。
スライド量を抑え気味にしている分、バンク角は深め。


上体のイン側への張り出しは一番大きく、左手のグリップを握る指は、人差し指と親指で握る感じで、外側の指はグリップを握るまで届かない、添えているだけ、という状態になっています。

スライドを少なくして旋回を強める、グリップ重視の弱スライド走行。

マシンをイン側へ抑え込まないと、遠心力で起き上がってきます。外足はマシンに沿わせて、膝の内側、くるぶしでもしっかりホールドし、それをさらに強めるためにつま先も閉じています。全身を右回転させようとし、左足全体でマシンをイン側へ引き込もうとしているかのようです。

スライドキングとでも言いたくなるマルケスですが、今回の写真ではスライドを抑えたコーナリング。ロレンソに近いフォームでやはり左足全体でマシンをイン側へ引き込もうとしているようです。



さて、それを踏まえて、ビニャーレスは。

お気づきでしょうか、全員のフォームをミックスしたみたいですね。
バンク角は、ストーナー、ロッシよりもちょっと深く、ロレンソよりは少し浅いくらいでしょうか。マルケスと同じくらいに見えますね。
スライド量は、写真に映っている車体角度はマルケスと同じくらいですが、位置はマルケスより少し手前にいます。ロッシ、ストーナーほどスライド量は多くないですが、ロレンソ、マルケスよりもスライドさせています。

そして、後輪のあたりを見てください。ロッシと同じように、かすかにタイヤスモークで薄青くなっていませんか。
そう、この地点ではスライドを仕掛けてきています。
しかし、外足のホールドで一番近いのは、ロレンソです。
逃げていくリヤタイヤに体を追随させるというよりも、がっちり外側から抑え込んで荷重を逃がさない乗り方です。
そして、これは迷走さんが指摘してくださったのですが、同じヤマハ同士でロッシと比べてみると、リヤカウル先端とタイヤとの距離がビニャーレスの方が短い。つまり、リヤサスが沈んでいる。つまり、荷重が多くかかっている状態だと言えます。

ドライの状況で、コーナリングマシン、ヤマハワークスYZR-M1の性能を生かし切って世界最速ペースを刻む、ロレンソスタイル。
スライドを自在に駆使し、状況が多少悪くても最速ラップを叩き出してしまう、ストーナーや(いつもの)マルケス。

ビニャーレスはその中間というか、どちらの長所も取り入れながら、「最速スライド」走法を作り上げようとしているように思えます。

この写真を見ても、緩やかにスライドで向きも変えながら、かつグリップも十分に生かしてタイヤの潜在能力をすべて発揮させながら立ち上がり加速に持っていこうとしているという、そういうライディングが感じられるのです。

今年のMotoGPは、またもや、目が離せないものになりそうです。
ドカティでチャンピオンを取れるか、ロレンソ。
テストライダーにストーナーを擁し、ロレンソの走りにどれだけ、ドカティ機を寄せてこれるのか、そのセットアップに注目したいです。
特にウィングレットの開発が最も進んでいたドカティ、ウィングレット禁止のことしのバランスをどうしてくるのか。

2016年度チャンピオン、マルケスとダニペドロサをライダーとして抱えるレプソル・ホンダは、やはりチャンピオンの最有力候補と言えるでしょうか。
大人のマルケスが、ロレンソのライディングスタイルを学び、しかもウィングレット禁止の今年は、スライド走法の有効性が少し見直されるのではないかと私は読んでいます。本来のスライドと、グリップの両方を使いこなすようになると、マルケスはさらに手ごわいでしょう。

そして、ロッシとビニャーレス。
予想以上、いやこれこそ想定内か、非常に高いビニャーレスのポテンシャル。
過去、何度もライディングスタイルを変えてマシンに適応し、走りを進化し続けてきたバレンティーノロッシ。
現役選手の中ではロッシのフォームは一番美しいと私は思います。

今回取り上げていませんが、スズキも楽しみです。
2016年はビニャーレスで優勝もGETしています。
実はイアンノーネ選手の走りは個人的に好みではないのですが(すみません。><)
リンス選手の方に個人的には期待しています。

KTMも、アプリリアも、楽しみですね。

個人的に応援したいのは、自分ももう50代真ん中ということで、最年長選手であるバレンティーノ・ロッシ選手、そして、誠実にマシン、レースに向かい続けている、ダニ・ペドロサ選手というところでしょうか。

いや、確かに応援する選手がいた方がレース観戦は楽しめるのですが、この技術と人間の鍛えた心身の織り成す、極限のスピードレースそのものが、たまらなく楽しみなのです。

2017年開幕、今からとても楽しみです。

迷走」さんの、「MotoGPライダーのライディングフォーム」記事に触発された本シリーズ。とりあえず、今回はここまでにいたします。

ド素人のライテクオタクの妄想にお付き合いいただきありがとうございました。

また、迷走さんに、改めて感謝申し上げます。

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