2016年7月24日

ヨハン・ザルコのIPONEオイル


2輪ロードレース世界選手権、MOTO2クラスの2015年年間チャンピオンにして今年、2016年のポイントリーダー(7月17日現在)、ヨハン・ザルコ(Johann Zarco)選手(フランス)。
彼のマシーンに、IPONEオイルのステッカーが貼ってあります。


チーム・アジョモータースポーツに在籍する彼のマシン。
カレックス製のシャシーにmoto2全車共通のホンダエンジン。
moto2は、エンジンに関して開発競争やチームの財政で大差がつかないよう、大きくレギュレーションで規制されています。
それはとても厳しいものです。

エンジンはホンダ、CBR600RR(市販車です)をレース用にホンダが改造したものが、全チームに提供され、タイヤもダンロップのワンメイク。

エンジンに関しては、改造しないよう、各所が封印されており、それを解いてはならない決まりです。
「カムカバー、シリンダーヘッド、シリンダー、クランクケースは特に、開けたり取り外したりしてはならない。」
とレギュレーションにわざわざ書いているくらいですが、なんと、カムの交換もアウト、シリンダーヘッドを開けられないから、バルブの交換も研磨もできませんし、エンジン全バラのメンテナンスもできないんですね。

じゃあ、何ができるのかと言えば、
「オイル交換や以下の項目で詳細に定める冷却、燃料、電子システム、およびプレートやハブ、制御機構のクラッチ部品等、外側部品を含む。」

エンジン本体の外側に関してはいい。クラッチもいじっていい。インジェクションもいい。ラジエターなどもいい。
エンジン<本体>にできることと言えば、オイル交換くらいなのです。キビシー。
できるだけイコールコンディションに近い所で、ライダーの腕の競い合いに持っていこうとする、そういうレギュレーション設定だと、大まかには言えるでしょう。


さて、そのザルコ選手のマシン。
入れられているオイルは、IPONEの「ストロークフォーレーシング 5W40」という市販オイル。
「IPONE STROKE4 RACING 5W40」

こういうべきでしょうか、「世界最高峰のレースで戦うマシンに入れるオイルと完全に同一のものをレーシングレンジとして市販している。」と。

「レーシングレンジ」。オイルの名前に「RACING」が入るのは新製品ですが、その前からあった「STROKE4 0W40」は、2007年、ダカールラリーで優勝したKTMのファクトリーチームに提供されていましたし、FIM耐久選手権、ボルドール24時間レースで優勝したヤマハフランスのマシンにもこの「STROKE4 0W40」が入れられていました。

IPONE(イッポン)は、何度もこのブログでも紹介していますが、フランスの企業。
オイルを作る企業ですが、4輪用を製造せず、2輪用だけを作っている、大変珍しい企業です。

フランス人は長距離のレースが好き。
自転車でも、ツール・ド・フランス、4輪、2輪のルマン24時間耐久レース、パリダカールラリー(アフリカの治安悪化のため、現在はダカ―ルラリーの名前で南米で実施)など、過酷な状況の中でなが~いレースをするのが好き。

そんなフランスで作られているのがIPONEオイルです。
IPONEオイルの特徴は高熱に強いことと、エンジンの保護性が非常に高いこと、かつ、フリクションロスを大幅に減少させるということです。

特に100%化学合成のオイルは(IPONEの製品の多くがそうです)、分子構造が大きく、熱による破断に耐える力が強く、酸化もほぼしないため、オイル管理は時間でなく、走行距離だけで管理できます。そして、原油そのままを使わないことから、油臭い匂いが一切しないという、不思議な感じになっています。

120kmだけもってくれればエンジン全バラ。
とにかく抵抗が少なければオイル性能の寿命が短くてもいい…なんてオイルは、moto2や、耐久レース、ラリーレイドでは通用しません。
過酷な状況下でいかに高性能を維持し続けるか、しかも、エンジンを壊さないように、いかに保護できるか…。

この耐久レーシングスペックは実は市販の公道バイクのエンジンに要求されるものと同一なのです。
市街地のゴーストップの繰り返し。炎天下の渋滞路での油音の上昇。冷えた状態からのいきなりの高負荷運転。レースに比べればありえないほど間隔の広いメンテナンス周期。
市街地の通勤ライドは、エンジンにとっては相当に過酷な状況です。

そうした場で、2輪に特化し、圧倒的な高性能を提供しようと作られているのが、IPONEオイルというわけです。

私のMOTOGUZZI V7SpecialにもこのIPONE(「FULL POWER KATANA 10W60」)が入っています。


ザルコ選手は2015年も、カレックスのマシンにIPONEのオイルで走り、moto2のチャンプになりました。



IPONEの日本語版HP」がこの7月からリニューアルされました。

このIPONEオイル、日本での総輸入代理店は、なんと札幌市にある個人経営の小さなバイクショップ。
有限会社 ズーム」。社長の佐藤さんは、納得するオイルを求めて、とうとうフランスへ渡り、このIPONE社と契約を結び、輸入することになりました。





私はただのいちユーザーです。バイクに関して本当に素人に過ぎません。
IPONEオイルは素晴らしいと実感していますが、他のオイルと比較テストを行ったわけではありません。他のオイルを悪く言う意図は全くありませんし、IPONEだけが優れたオイルだという気もありません。

ただ、いちユーザーとして、このオイルが日本国内でももう少し知名度が上がり、バイク乗りのオイル交換の選択肢として、その候補の一つに上がってくるといいなあ…というふうには考えています。

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