2016年5月19日

春の丘、春の愁い。(4)

道道253号線を麓郷方面へ走ってきたが、ここでちょっと気まぐれ。
道道から外れて、富丘方面へ。ほとんど観光客やライダーも走らない、田舎道を行く。
2016/5/15 9:41
富丘はその名の通り、小高い丘。西の方向を見れば、高台が続いた先が谷として落ち込んでいるが、そこが富良野盆地だ。その向こうに夕張山地が見えている。

牧草地と、小麦などの畑、アスパラガスの畑などの中を、ゆきかぜでゆっくり走る。
こんな風景の中の田舎道は、チームの看板背負ってギンギンに走るのは似合わない。

ゆっくり、ぽくぽくと、走っていくのが似合う。

富丘、べべルイのあたりを、適当にぽくぽくと走ると、やがて道道705号線、本幸小学校の前に出る。
大正5年開校の本幸小学校は、100周年。とても小さな小学校だが、にぎやかで幸せな感じのする校舎だった。(写真はありません。)

その近くに夕茜舎(あかねやど)という小さな民宿というか、ゲストハウスがある。

その脇の土の路面の狭い道路をまたもやぽくぽくと行くと、また少し丘を登って、見下ろすと東側に前富良野岳、旭岳の峰が見える。その奥に、富良野岳、上富良野岳が隠れて、北へ連なるのは、北海道の屋根、大雪山系だ。そして、上富良野岳のすぐ奥にある十勝岳は2000mを超えて日本100名山にも選ばれている。



2016/5/15 9:49
本幸、夕茜舎の近くから。



2016/5/15 9:51
こういうところに来ると、やっぱり北海道だなと思う。
富良野や美瑛に負けない美しい景色は、北海道の中にもたくさんある。
でも、やはり富良野、美瑛は特別だ。

ゆきかぜ、今日も、よく来たよね。

さて、丘を下って、中富良野から美瑛方面を目指そう。

2016/5/15 10:00

上富良野町の中心部へ向かって下りていく坂、まっすぐな道がちょっとくねって橋を渡る。
その橋のたもとに、大きな木が一本、立っていた。
根方に小さな祠。不動尊が祭ってあった。

大きな樹に不動尊を祭っているのは、北海道内で時々見ることができる。

2016/5/15 10:08

 そこからほんのわずか、下ったところ、畑の中に、桜の木が一本。
ほぼ満開に咲いていた。
道端にゆきかぜを停め、あぜ道をちょっとだけ、歩いて。

2016/5/15 10:08
 小粒の花がびっしりと咲いた、この咲き方は、野生のものではない。
この畑の持ち主が、どれくらい前になるかはわからないが、植えたものだろう。

野生の桜も美しいが、人の手によって植えられ、人の手によって守られ、育まれてきた桜もまた、美しい。



2016/5/15 10:10
遠くにさっきの山が見える。

春だ。

春の真っただ中にいるのだと、教えてくれる風景だ。

気がつくと、こわばった日常の凝りは、大分解けている。

それでも、高曇りの空のように、少しふわふわして、少し悲しく、疲れ切った僕の心。

半日や一日のツーリングで、心が晴れ渡るはずもない。

それでも今、僕は春にいだかれ、春の真っただ中にいる。

(つづく)

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