2015年10月4日

9月の美瑛、ちょっとだけ。(2)

体調も天候も、あまり思わしくない。
そろそろ帰路に着こうと、道道966号線を下って行く。
ちょっとだけ、美瑛の丘も眺めようと、道道824号線にチェンジ。
美しい美瑛の田園地帯を行く。天候曇り。ゆきかぜのエンジン快調。

2015/9/22 12:23

美瑛の景色は1970年代に車や煙草のCMで人気に火が付いた。だが、その美しさを鮮明に描き出したのは写真家の前田真三(ウィキペディア)である。
前田真三 美瑛 写真で検索すると、その鮮烈な風景写真がたくさんヒットする。(その検索結果がすべて前田真三の写真であるわけではない。ネット検索ではキーワードにヒットしたものが出てくるにすぎないのだから、注意が必要だ)

70年代から80年代にかけて人気を呼んだドラマ、「北の国から」で近隣の富良野が注目され、美瑛、富良野は、北海道を代表する人気観光地となった。

美瑛の風景は、農業の風景。
丘の連なる急斜面を耕し、それが連作障害を防ぐ三圃式農業のために風景がパッチワーク状になり、独特の景観を生み出している。

地元の人にしてみれば昔からある、斜面がきつい、日常の風景なのだが、およそ「日本的でない」丘陵と畑の組み合わせ、そして北海道ならではの色彩に、人気となったのだった。

その人気が一番高いシーズンは、ラベンダーが咲き、様々な花の咲き誇る夏。
しかし、季節ごとに、丘の風景は美しい。


2015/9/22 12:28


さて、道道824からさらに細かい道へ、そっと入り込んでみよう。
基本的にそれは農業の為の道。
道路ではあるが、地元の方の邪魔、目障りにならないように、心配りは必要だ。
こう改めて書くまでもなく、それはどんな地方の生活道路を通るときも同じこと。
国道でも、本州の3ケタの国道は1車線で家の軒先を通って行くこともある。
そんな時には、ゆっくり、「お邪魔します」の気持ちで通るべきだろう。

美瑛の丘はあまりにも有名になったために、観光客がひっきりなしに訪れ、中には畑の中にずかずかと踏み込んで写真を撮って行く人や、ゴミを投げ捨てていく人もいる。

そんなことがずっと続けば、地元の人も観光客を見るたびに嫌気がさしてしまう。

天下の公道を走るのに、卑屈になる必要はない。
ただ、ふつうの、旅人として、異邦人として、地元の生活場面にお邪魔しているという、そういう心掛けを失わなければよい。

だって、その心がけもまた、旅の醍醐味のひとつなのだから。



2015/9/22 12:33
右奥に見えているのは展望花畑、四季彩の丘だ。
たくさんの観光客が訪れ、それに対応した、季節季節に花が咲き、色とりどりの景色が見えるように工夫されている。アルパカも飼って客寄せになっているようだ。

このゆきかぜのすぐ横は秋撒き小麦の畑だ。原っぱでも空地でもない。
絶対に踏み込んではいけない。
靴の裏に付着している菌が、畑に大損害を与えることもある。


2015/9/22 12:34
同じ場所。少しカメラを左に振れば、そこはもう、農業の丘の風景。
正面奥の左手の二本の樹は、二枚上の写真で丘の上、耕運機の隣に映っていたものだ。

ここは観光道路ではなく、完全に農道。
あまりお邪魔しないように、静かに、そっと通り、そっと写真を撮らせてもらう。


2015/9/22 12:35
同じ場所、今度は右にカメラを振る。
丘の風景が続いている。
こんな風景がずっと続くのが美瑛の土地だ。

やはり美しい。

観光地化しようが、美しいものは美しい。
ここで生き、ここを代々耕してきた人たちに、敬意を感じる。


2015/9/22 12:36
さっきの写真は丘の頂上付近。下りてきたらちょうど豆の畑と、春撒き小麦の収穫後の畑とが隣り合っているところにきた。
豆はきっと大豆(だいず)だと思うのだが。小豆(あずき)かもしれないが、たぶん大豆だと思う。
茎がすっかり枯れたら、収穫だ。あと少しというところだろう。

2015/9/22 12:38
小さな交差点を気まぐれで右へ。
またポクポクと、ゆきかぜと走る。
30km/hくらい、出しても40km/hくらいの速度だ。
20km/hの自転車くらいの速度での走行でも、ゆきかぜはぐずらない。
ゆっくり走るのも得意なのは、モトグッツィでもスモールブロックエンジンの、この小さいV7の特徴だ。



2015/9/22 12:38
ほぼ同じ場所。数十mだけ進んで丘を上る。
振り返れば、収穫の最中だ。
丘の上に小屋がある。
これはかなりズームアップしているのだが…。


2015/9/22 12:39
引くとこうなる。
さっき停まった畑の境目が映っている。

僕の好きな赤井川の風景に似ている、この美瑛の丘の農の風景だ。



2015/9/22 12:49
さらにあちこちを、少し彷徨ってみる。
こうした気まぐれ散歩が昔から好きで、僕にとってバイクツーリングの大切なシーンのひとつだ。

大した風景に出会わないことも多いし、行き止まりになることもある。
美味しい店があるわけでもなく、自慢できる写真が撮れるわけでもない。
でも、こういうさすらい、こういう漂泊、それがしたくて走っているという側面も、昔から僕にはある。

きちっとプランし、ルートも決め、レストランを予約し、分刻みで正確にたどって行く、合理的で完成度の高いツーリングを楽しむ人たちからすれば、無駄だらけで、楽しさの確約もなく、困ってしまうことも多いのだから、何やっているんだ…というところかもしれない。

大人数のツーリングでは、ある程度計画がしっかりしていないと、楽しめない。

ひとりの走りには、ひとりの走りだけの、流儀がある。
それは、二人で走る時とは、まったく違う体験だ。

僕は、バイク旅の基本は、一人だと思っている。

2015/9/22 12:51
畑の中の一本道下って行く。長い直線。見通しもよく、少し湿った秋風が郷愁を誘う。
こういう時は、少しスピードを上げる。 …といっても、秋風よりほんの少し速い程度だ。
風を追い抜く瞬間の、あの感覚を何度も味わいたくて、畑の中の道を、駆ける。
もちろん、周辺に農作業の方がいたら、目ざわり、耳障りにならないように、気をつけて。


バイクは一人旅が基本。
そう思っているが、複数のグループツーリングを否定するつもりは全くない。
むしろ、一人で走るのでは得られないことが、たくさん得られる。
2台でも、5、6台でも、仲間とのツーリングで得られるのは、仲間との出会い、語らいだ。
風景は、添え物に下がる。
人との触れ合いがメインなのが、グループツーリング。

風景と向き合うなら、一人で行くしかない。

『奥の細道』の芭蕉と曽良のように、長年よく知り合っている二人の長い旅ならば、また別になるのかもしれないけれど。


2015/9/22 13:03
いろいろめぐっていたら、美瑛市街地についてしまった。
ここまで来たならとついでに西側の丘、「パッチワークの丘」と飛ばれるところにも少しだけ立ち寄ることにした。

でも、天気はどんどん雲が厚くなってきていて、体調もやはり今一つ。
そして、シルバーウィーク開けで、天気予報では雨のこの休日も、やはりこちらの丘は観光客でごったがえしている。

そう、僕もその一人。

ああ、もう帰ろう。

そんな気分になった。
あげいもを売店で買って食べ、ちょっとめぐってすぐに帰ることにした。



2015/9/22 13:17
「親子の木」と名付けられた3本の樹。
この手前で、ドローンを飛ばそうとしていた人たちが車を横止めにして道を塞いでいた。
私的な撮影のようだったが、そこまでするのは驚きだ。

あちこちにカメラを構えた人。
僕もその一人。
自分もするくせに、そういう人が大量にいると、嫌になるなんて、わがままな自分だ。

やれやれ、体調が悪いと、思考まで悪い方へ回る。
そんな時もあるから、それはそれとして、受け流し、自分を慰めて。

さあ、帰ろう。
美瑛の丘を後に、札幌方面へ引き返していく。
(つづく)

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