2014年12月4日

マスターキートン・リマスター(コミック)

今日、病院帰りに本屋さんで漫画を一冊買った。
『マスターキートン リマスター』だ。僕にとっては、とても大切な本になるだろう。

僕はほとんど小説も漫画も読まない。読書しているより、散歩している方がずっと好きだ。
そして、バイクで走っている時の自分が、他のどんな時よりも一番好きだ。
それは幸福なことなのか、不幸なことなのか分からないけれど、バイクで走っているときが一番ハッピーに感じることは確かだ。

でも、いくつか、とても大切にしている読書体験もある。
小説で言えば、アルベール・カミュの「ペスト」。これは、17の時、始めて読んで、今も僕の人生で出会った小説のナンバーワンだ。
漫画では、『マスターキートン』(リンクはwiki日本語版)
1988年から1994年にかけて連載された漫画で、日本人の父とイギリス人の母を持つ、平賀=キートン・太一が主人公。
彼はオックスフォード大出身の考古学者なのだが、大学には就職できず、友人のダニエルの作った探偵会社の探偵と、保険会社ロイズのオプ(調査員)として働いている。学生時代に日本から来た留学生の女性と学生結婚、娘を得るが、その後離婚し、一時は軍に入隊、SASでサバイバルの教官をしていたこともある。
そんな彼が、ふとしたことから小は夫婦喧嘩の仲裁から大は東西冷戦に絡んだ国家的大危機までさまざまな事件に巻き込まれ、活躍するのが「マスターキートン」という漫画だ。

キートンは大活躍するものの、マッチョではない。
自信たっぷりでもない。超人的活躍をするでもない。(ただし、考古学やSAS時代の知識・技術を用いて超専門的な活躍はする。)

それでも、彼の生き方、戦い方は、30代後半から40代の男の生き方のモデルとして、かなり僕に影響を与えた。
そう、彼のような「大人」になりたい、と20代後半から30代前半の僕は思ったものだった。



マスターキートンの連載が終わって20年、2014年12月3日にコミック『マスターキートン・リマスター』が発売になった。

雑誌連載は2012年から不定期に行われ、2012年に3本、13年に3本、そして今年、14年に2本の合計8本のストーリーが発表された、それを一冊にまとめたのが、今回のコミックだ。

60歳前後になったキートン。連載当時、中学生から高校3年生だった娘の百合子は、38歳前後になった。
白髪が増え、文章を読むときには老眼鏡が欠かせない。

キートンはちゃんと歳をとっていた。
60にしては顔のしわや、身のこなしに若々しさはあるものの、表情もやや「枯れ」が見え始め、アクションシーンも往年の激しさがない。

マスターキートンは、一見たいしたことのないしょぼしょぼした男が実はすごい奴だったという、
日本なら「必殺仕事人」のようなアメリカなら「スーパーマン」のようなストーリーなのだが、このギャップの「すごい」方が、人間ばなれしていないというか、しょぼしょぼそのままで全然別人でないというか、無理感がないのだ。
ほーら、こんなにすごんだ、という演出があまりないのもいい。

「マルクスを読んで革命家になった奴よりも、「エースをねらえ」読んでテニス始めた奴の方がずっと多い」
と言ったのは、誰だったか。高橋源一郎だったろうか。記憶が定かではないのだが。

やや疲れた表情のマスターキートン。
しかし、現在60前後のキートンは、合い変わらず僕の年齢の10くらい先を歩いていた。

僕も、ちゃんと60を越えて行けるだろうか。
そのためにも、この50代を、味わいながら、そして時にあがきながら、生きていこう。

2 件のコメント:

  1. この東京でCBRさんと共に8年。ワタシも50代。
    次の8年もCBRさんと共に。そして、
    60代でもCBRさんと共に。それが夢かな。

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    1. tkjさん、こんにちは。
      CBR1000RR(07)で、8年、12万キロ以上は、驚くべき距離です。
      そして12万キロを走って8年以上たつとは思えない美しい外観を保ち、
      良好な状態を保っているCBRさん。
      さりげなく、しかし、しっかりと走る続ける
      tkjさんとCBRさんが、これからも素晴らしい時を
      重ねていきますように。
      CBRさんとあと8年走ると、20万キロを超えますね。
      それはすごいなあ…。

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