2014年8月10日

夜景異情

夜走りには、自由の感覚があった。
人の出かけない夜に出かける。
昼間とは違う風景を見る。
明日の朝一番の心配をしなくてよい環境、または体力を持っている。
いろんな、条件が揃って初めて繰り出せるのが夜走りだった。
今、僕が夜走りにいく機会はめっきり減った。

あの頃のように、居ても立ってもいられずにウェアを引っ張り出し、グローブをわしづかみにし、ヘルメットを抱え、ブーツに足を突っ込んで、とにかく走り出す…、そんな日々は、もう、おそらく来ないだろう。

あの頃、僕は何者でもなかった。夫でも、父でも、社会人でもなかった。
子どもだったというべきだろう。しかし、実家からは離れて生活していた。
親の金で、学生暮らし。
あんな季節は、もう来ない。持とうとも思わない。
しかし、あの季節があったから、なんとか今まで社会生活をやって来れているのも実感だ。

今夜、見下ろす夜景に、あの頃の解放感はない。
街の灯りは、抽象的なきれいな風景ではなく、僕の毎日の仕事の場、日々の闘いの場として僕の目に映る。

その闘いの舞台へ、また鉄の馬と降りていく。
ホリディが必要だ。
そう思いながらも、まとまった休暇は、なかなか取れない。

8 件のコメント:

  1. 居ても立ってもいられず、ただ走るしかなかった
    悲しい気分や怒りを沈めるにも、走るしかなかった
    荒れた路面に暴れるフロントに思わず我に帰る
    滑るリアに冷静さを取り戻す

    赤い誘導灯を見て頭を冷やす(笑)

    僕もそう。
    確かにあの季節があったからこその「僕」がここにいます。

    樹生さん、変わらずご多忙の様子。猛暑の折、ご自愛くださいね。

    返信削除
    返信
    1. Hiroshi Mutoさん、こんにちは。
      あの頃、ひとりで走っていた奴らは、やはりまだ走っているような気がします。
      バイクを降りても、まだ乗っていても。
      それにしても、僕は定住型ではないのか。時折襲ってくる遠くへ行きたい衝動に駆られる度に、
      ふとそんなことを思ったりもします。
      このお盆も、14日以外は仕事です。
      北海道は、台風が過ぎて、少し涼しくなりました。
      もうすぐ、夏も終わります。

      削除
  2. 大変お久しぶりです、樹生さん
    夜走りあり、早朝走りよし 少しでも走りたい
    自分は道なき道を走るのが大好きで、この道行ったら『どこにでるのかな?』
    そういう走りが好きでした
    今、子供たちにそういうわくわく感を感じてほしいのですが
    今はオンラインゲームなのですね、少しもったいなくさびしい気持ちになります
    鉄の足(単車・四輪)最高

    返信削除
    返信
    1. いのぶーさん、お久しぶりです。こんにちは。
      忙しさのためにめっきり走れなくなって、ブログの更新もなかなかままなりません。
      現実の世界の楽しさは、先どうなるかが決まっていないところにあるように思います。
      すべてがお膳立てされた通り(それがいくつのバリエーションを持っていたとしても)にしか進み得ないとしたら
      その閉塞感、絶望感には、僕は耐えられるでしょうか。最近の社会の息苦しさ、閉塞感は、この包囲されてる感にかなり関係しているように思います。
      大人になるには、冒険が必要だと思います。本当に命を落とさない程度の。
      小さい冒険でもいいんです。
      まぼろしだとしても、冒険のどきどきがないと、窒息してしまうように思うのです。
      僕は酸素を求めて水面めがけてもがくように、ほんの時折、バイクで走っているのかもしれません。
      ゆきかぜと、一週間くらいの旅に、でたいなあ…と、思います。

      削除
  3. 樹生さん☆こんばんは
    あいかわらず多忙で、バイクに乗れないと言うか、遠くへ行けないのですね?
    そして夜走りですか。夏の夜って言うのは、ある意味、気持ちいいですね。
    でも、写真のような場所に来ると、ちょっとせつない気分がどこからか湧いてきて
    私の場合、内面に意識が向かう感じです。

    きっと夜の闇が余計なものを消し去るからなんでしょうね。エンジンの鼓動を感じ
    メーターの光に目を向ける時、もうイロイロと考えることも無くなってしまいます。
    夏の夜の空気を吸って走る世界もまたいいもんですよね。
    シンプルに楽しみましょう!

    返信削除
    返信
    1. いちさん、こんにちは。
      若い頃、瀬戸内に住んでいたことがあって、呉市や、大竹市のコンビナートの夜景を見にいったこともありました。
      瀬戸内海は橋で渡れる島も多くあり(古くから有名なのは音戸大橋ですが)、真夜中の瀬戸内海、漁村を結ぶ細い道を流していると、いつのまにかささくれた気持ちがおさまっていることも、多くありました。
      夏のナイトクルーズ、なかなか魅力的だと思います。
      今は若さと、暇が、不足している感じです。
      まあ、でもその分経験を積みましたから、これでいいのかもしれません。

      削除
  4. 樹生さんこんにちは。お久しぶりです。
    僕も先月かな、手稲山を久々に登りました。多分バイクで初めて登ったんですが、減速帯っていうんですか、凹みが結構大きくて、バイクで「走り」にくるとこじゃないなぁと思い、まったり流しました。

    今年もしょっちゅう夜走り行ってます。奥さんがバイクを休んでいるのでなかなか休日に乗れずに平日夜に乗ってます。
    今が僕のあの頃になるかもしれません。
    三十路手前で子供みたいなことやってるなーって感じですが、子供みたいに遊べる環境があるならそうしたいなって思います。
    まあ、どんなに楽しくても2時3時までにはちゃんと帰って寝て次の日自分で起きて仕事に行ってるあたり、10年前に比べれば少し大人になってるかなーなんて…(笑)

    郊外に出て、札幌では見れない満点の星空の下を走ったりしてると、人間として生きてるんだなぁって思えたりして、夏の夜風に洗われていくような感覚になります。

    涼しくなってきましたね、短いシーズンを楽しみたいです!

    返信削除
    返信
    1. かねしんさん、お久しぶりです。こんにちは。
      路面の凸凹はヘヤピンカーブにあって、とても走りにくいですね。あれは2輪、4輪ともに飛ばして走ることをさせないためで、その背景には、走り屋が集まるスポットになると、危なくて普通の車が走れないとか、夜中までうるさいとか、いろいろあったようです。路面を危険に加工するのは絶対によくないことだと思いますが、一方で、マナーを守らず、集まってくる輩(僕のような)もどうしてもいるわけで、どうすべきかは、一筋縄ではいかない問題ですね。
      寛容さと、限度を超えないマナーの両方を持っているのが成熟した社会だと思うのですが、我々の社会は、まだまだ大人げないというか、恥かしい状況にあるようです。
      調子に乗らず、周囲を見る。自分を離れた視野で全体を見る。難しいことですが、少しずつ、できるようになっていきたいと思っています。スーパーとかでもマナーが悪いのは、50代くらいが一番多いように見えますから。

      ひとつの夜景でも、人の数だけ感慨がありますね。
      夏もそろそろおわりですね。お互いに無事故で。気をつけましょう。

      削除