2014年6月12日

kaoriさんの650RS(=W3) その2

kaoriさんの650RS、W3、タンクやら、ハンドルやらを見てみよう。



ああ、美しい。
ワックスがけされたタンクの艶。
ブラスト処理されたシリンダーは新しい外見を見せ、エンジンガードのクロームメッキも新しい。取付け部の板にエンジンのフィンが映り込んでいる。
古い部品、新しい部品、古いものを再塗装したもの、再処理したもの。
新しいだけでも古いだけでもなく、今を走る現役のW3として手が入れられている。
そのバランスが、この美しさを作り出している。


タンク上面。タンクキャップは当時のままだ。



斜め前から見下ろす。
ウィンカーが大きい。70~80年代にカスタムでウィンカーを小さいのに替えるのが流行ったが、今やメーカー純正が小さく、レンズが透明だったりする。(僕のゆきかぜ号もそうだ。)
非視認性を考えた、こちらの方が僕は好みだ。
レバーはオリジナルだ。華奢で、すらっと美しい。
最近のレバーは途中で犬の後ろ足のように折れ曲がったカーブを描く「ドッグレッグ」形状が多いが、それはブレーキの制動力が増して、少ない入力でも強力にブレーキが利くようになり、コントロール性を重視し、人差し指と中指の2本をレバーに掛けるスタイルが増えたためだが、この時代のレバーは4本がけか、中指、薬指、小指の外3本がけが前提のレバー形式だ。
ブレーキレバーの上にあるチョークレバーも、いい形をしている。
かわいい小さなパーツだが、なぜか蒸気機関車を連想してしまう。



このあたりの造形も、いかにも機械式で、僕なんかは蒸気機関車を連想するのだ。
ミッションオイルも滲み出したりしていない。
まだまだ未舗装路も多かった時代のステップ、タンデムステップの形だ。


ハンドルにはETC機器が。
最新装備をさらっと使う。
着崩し、着流しのいい感じ。スイッチ、レバーホルダーもいい感じ。一方ミラー基部のボルトは新しい。
メーターケースの枠のメッキは新しく、これには、kaoriさんのメーター内部改善したときの苦労話が秘められている。



左ハンドルにはカーナビ。メッキに輝く小さな電圧計もついていて、これも発光ダイオードが輝いて電圧を知らせるという、このパーツ自身が新旧混合のようなパーツだ。


正面から見るとこうだ。
バンパーが張り出しているが、車体本体は非常にスリム。
さすが2気筒だ。
すらっと伸びた前足、ラバーブーツ、高い位置のヘッドライト。美しいレンズカット。
ライトの上のメーター2連奏と、ハンドル周りのこの表情。
オートバイ、という感じだ。新しいとか古いとかではなく、一つのスタンダードなバイクの肖像だと思う。



長身のkaoriさんが跨る。
人が跨ると、さらに美しくなる。
人を乗せる機械なのだから、人を乗せた姿が完成形なのだ。
大きすぎず、大げさすぎず、十分に迫力があり、実際に力強い。
時速40kmが、本来どんなものか、時速60kmが、80kmが、120kmの運動エネルギーとはどんなものなのかを、リアルに伝えてくれそうである。
もちろん、kaoriさんにとってこれは博物館から出してきたショ―モデルではなく、日常的な用途に使い、旅にも使い、時には激しく走ることもする、現実の、今日の、現在進行形の相棒なのだ。

本当に美しい単車だった。
ここまで持ってきた苦労には、頭が下がる。
これから何年も、何年も、毎年コンディションを改善しながら、kaoriさんと長い年月をともに刻んで行くのだろう。

kaoriさんと、W3なら、きっと素敵な旅になるにちがいない。

喫茶店の前で、kaoriさんと愛車のW3を眺めながら、ひでGさんも、プルプルさんも、そして僕も、きっと同じことを考えていたに違いないのだった。

2 件のコメント:

  1. KAORI2014年6月13日 21:46

    樹生さんこんばんわ。
    良く考えれば、二人ともカワサキの4発、それも鉄フレームで大きく重く重心の高いバイクを
    ずっと乗り続けて、同じ年にまたこんどはOHVのツインに乗り換えています。
    この点で相似な部分がありますが、実は選択はだいぶことなり
    現実に存在し続けるW3をずっと見つめつづけていて、時期が来てそれを選んだワタシと
    次のバイクライフの自身の深淵をみつめて、それにもっとも好ましいバイクを熟慮の上チョイスされた
    樹生さんとの違いがあります。
    ワタシにはまず想い憧れる車両がありきで、樹生さんはまずライディングライフ全体像が頭の中で
    空間軸、時間軸で構築されているのだろうと感じました。
    あ~樹生さんは深いなあと ワタシは単純な女やなあと思いました。
    美しいグッチV7ゆきかぜ、小ぶりでポップなタンクカラーのW3、
    しかしどちらも航空機や軍用車両メーカーを選んでるところが
    これまたおもしろいところです。





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    1. kaoriさん、こんにちは。
      源バイク。自分の中のモーターサイクルのイメージを形造った最初のもの。
      それは僕の場合、『ワイルド7』の主人公、飛葉のCB750でした。
      「るびあ」での話の中で、「樹生さんはいずれ、4発に帰ってくると思う。」とkaoriさんが言っていましたが、
      僕の中の源バイクは、空冷直4エンジン、ダブルクレードルフレームのネイキッドなんだと思います。
      僕にとって空冷ツインは、交通事故の後、ライダー復帰の時に乗ったSRV250以来2台目です。
      SRV250は僕にとって非常に好ましく、この400版が欲しい、と思ったものでしたが、今回、それが750版として僕の手元に来た感じです。もう少しだけ、角を取り、力強さはそのままにまろやかにして、ゆっくりのんびり流せるようになれば、僕の使用状況にはピッタリになるのですが、モトグッチのエントリーモデルといえど、情熱のイタリアンにそれを求めるのは、ちょっとお門違いかもしれません。
      それよりもまずは、ゆきかぜ号の基本的な能力を、ちゃんとはかって、自分の身体に沁みこませることをしていきたいと思います。ゆきかぜ、ちゃんと走らせれば、たぶん中速くらいまでなら、ラジアルを履いていたGPZ君よりもかなり速く走れるはずです。
      頑丈なもの、耐久性を重視したもの。自分の相棒として、繊細さよりも、信頼性、ヘビーな扱いに音を上げないものを選ぶのは、そうした扱いをしてしまう自分を否定できないから。GPZ君がそうだったように、ゆきかぜもいずれ、外観はぼろぼろになっていってしまうのだろうと思います。でも、イタリアンレディーにそれは気の毒すぎるので、ちゃんとケアしないとね。女の子の扱いは苦手なので、苦戦も予想されます。(^^;)

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